YOSHIO OKUI SPECIAL INTERVIEW
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Hot Wheelsは“遊び”から“カルチャー”へ
attictoyz代表の奥井善雄氏。レコード店やアパレル、ハイブランド業界を経て、ヴィンテージトイの世界へ。妻が購入した「ピンクのコブラ」を機にホットウィールの深遠な魅力に開眼し、自身のショップを設立した。
プロダクトの背景にある物語や、「パープルパッション」などに宿る造形美を愛し、日本のコレクターコミュニティを長年牽引している。「なぜか惹かれる」という直感を大切に、ミニカーを単なる玩具ではなく一つの文化として発信し続けている。

日本のミニカーカルチャーを牽引する、attictoyz・奥井善雄社長の物語
「なんでかわからないんです。正直なところ。なんでかわからないけど、沼ってしまうんです」
そう語るのは、日本のHot Wheelsカルチャーを最前線で支える attictoyzの奥井善雄氏。
ヴィンテージトイを愛する一人の青年が、いかにしてHot Wheelsと運命的な再会を果たし、熱狂的なファンコミュニティを築き上げてきたのか。そして、なぜ人々は、この小さなクルマに魅了され、やがてカルチャーへと昇華させていくのか。
これは、奥井氏が語る、Hot Wheelsに人生を捧げた男の物語です。
レコード屋
昔、レコード屋でバイトしてた時期がありまして。自分で店をやってたわけじゃなくて、働いてたんですけど、中古の輸入盤、特にR&Bとか、現地に行かないと売ってないような洋盤を扱ってました。僕は個人的にはUKロック、スミス、オアシス世代なんですけどね。でも、そういう音楽がずっと好きで、もう、耳にタコができるくらい聴いてました。

Levi'sからヴィンテージトイへ
その音楽好きが高じて、次に熱中したのが古着やヴィンテージの世界です。一番最初に働いたのがLevi'sで、ヴィンテージジーンズが好きで、もう夢中でした。そのヴィンテージジーンズへの熱が、そのままヴィンテージトイに移行していったんです。最初はLevi'sやLeeの人形、スヌーピーなんかをアメリカで買ってて。元々、妻と二人ともアメリカのヴィンテージトイが好きだったんで、特に違和感なくハマっていきましたね。この頃はまだ、仕事になるとかじゃなくて、純粋に好きで集めてただけです。

ピンクのコブラ
トイをコレクションしながらも、当時の仕事は全然違う分野で。GUCCIとかVuittonとか、ハイブランドのバッグを扱う仕事をしてたんです。そのカバンの仕事でロサンゼルスへ行く機会が増えて。もちろん仕事なんですけど、時間を見つけてはトイの買い付けをしてましたね。ロサンゼルスには*Frank&Sonっていう、室内のかなり大きなフリーマーケットがあって、そこに行って買ったり。あと、当時はPayPalもない時代に、国際郵便でマネーオーダーを送って、eBayでミニカーを仕入れてましたよ。切手じゃないですけど、手間がかかる分、手に入ったときの喜びは大きかった。2000年前後くらいの話ですかね。
そんな中、ある時、妻がeBayで買った*ピンクのコブラのミニカー(確かパッケージはHWでCORGIキャストだった記憶が、、?)を見たんです。その現物を見たときに、「うわ、これかっこ可愛い!」って、素直にそう思った。それがもう、僕のHot Wheelsの沼への入り口でしたね。集め始めたら、実は3、4歳の頃にお母さんによく買ってもらっていたミニカーだったって気づいて。これにはゾッとしましたね。無意識でまた惹かれてたんだなって。
*Frank&Son
「Frank & Son Collectible Show」というアメリカのカリフォルニア州にある大きなコレクター向けのフリーマーケットまたはショー。アニメや映画愛好家、オタク、マニアに人気を誇り、収集品やポップカルチャーに興味がある人々が集う。
*ピンクのコブラのミニカー
「シェルビー・コブラ」は、元レーサーであり、後に伝説的な自動車デザイナーとなるキャロル・シェルビーが手がけた、アメリカとイギリスの合作による高性能スポーツカー。Hot Wheelsのルーツである1960年代のアメリカンカーカルチャーを体現するモデルの一つで、実車が持つ伝説的なステータスと、その戦闘的なルックスから常に多くのコレクターに求められている。


attictoyz
たくさん買って、手放せないやつだけ残して、残ったものを売ったりしてたら、いつの間にかお客さんがついてきてくれるようになって。中には「家に泊めてください」なんていう熱心な人もいて(笑)。「そんなしょっちゅう来るんやったら、めんどくせえから、店みたいにしたら?」って、半分冗談、半分本気で「ホームページ作った方がいい」ってなったのが、僕らの店、attictoyzの始まりです。
最初はヴィンテージトイ全般を扱ってたんですけど、鞄屋を辞めた後、妻に「もうミニカー屋さんしたら?」って言われて。サイトを作り直して、そこから本格的にHot Wheels一本でやり出したんです。妻には感謝してます。元々、二人ともヴィンテージトイが好きだったんで、自然な流れだったのかもしれない。

熱狂を生んだ一台「パープルパッション」
僕が本格的にハマるきっかけになったのが、*パープルパッションという車種です。アメリカのコレクターも、この車で一気に増えたらしいと聞きました。僕もこれにはハマりましたね。大図鑑に載ってるのを全部集めようとしましたもん。シンプルなのに*ローライダーっぽさもあって、カリフォルニアのカスタムカルチャーが凝縮されたような魅力があるんです。
デザイナーの*ラリー・ウッドさんも「これが一番好き」って言ってたんで、やっぱり特別な一台なんでしょうね。こういうストーリーと熱量のある一台に出会うと、もう抗えないですよ。
*パープルパッション
1949年式または1951年式の*マーキュリー・クーペをベースにしたHot Wheelsを象徴する人気と歴史のあるカスタムカーのオリジナルモデル。*3ラリー・ウッド氏の代表作の一つとして1990年に最初のキャスト(車種)が登場して以来、繰り返しモデル化されている。その名の通り紫色を中心としたカラーバリエーションやデザインが多種多様に存在する車種の一つ。
*ローライダー
主に1940年代以降にメキシコ系アメリカ人(チカーノ)の若者の間で南カリフォルニアを中心に発展したカスタムカー文化。車体を極端に低く(low)設定し、ゆっくりとクルージング(ride)すること"Low and Slow"が特徴。
*ラリー・ウッド
「Mr. Hot Wheels」と呼ばれ、半世紀にわたり数百台にのぼるミニカーのデザインに携わった。他社のミニカーが実車のスケールモデルに注力する中、彼はホットロッドやカスタムカーといったアメリカの自動車文化に根差した、独創的で幻想的なデザインを数多く生み出し、ホットウィールを競合他社から際立たせることに大きく貢献した。鉛筆での手書きのデザインにこだわり続けた「オールドスクール」なデザイナーとしても知られている。
*マーキュリー・クーペ
アメリカの自動車メーカーであるフォード・モーター社がかつて展開していたブランド「マーキュリー 」から販売されていたクーペ(2ドア)タイプ。

広がるカルチャー
昔は本当にマニアックな世界だったHot Wheelsも、今ではすごい広がりです。今でこそ簡単にサイトを作れますけど、当時はホームページビルダーを買って自分で作ってました。あの頃から地道にやってきて、今では量販店やコンビニなんかでも見かけるようになって、時代は変わりましたね。
特に数年前に単品販売が始まったのは大きかった。あれで欲しい車種が買いやすくなって、そこからお客さんが劇的に増えていきました。昔は仕入れも大変で、お客さんに「これ入ってけへん?」って言われて、その要望に応えようと頑張っているうちに、勝手に僕らのお店も成長させてもらいました。僕はお客さんが育ててくれたと思っています。

ミニカーの「沼」
Hot Wheelsの魅力って、正直「なんでかわからないんですよ(笑)」。なんでかわからへんけど、沼ってしまう。これ、本当に正直な気持ちです。
売り手である僕自身も、いろんなものを仕入れたくなる。売れる車種はもちろん仕入れますけど、それ以外の、誰も見向きもしないような謎車とかも、手に取って見てみたいんです。歴史が長いから、未だに見たことのない、プライスガイドにも載っていないような商品がたまに出てくる。そういうのを見つけると、もう興奮しますね。
僕の人生は、音楽、ファッション、そしてこの小さなミニカーに引き寄せられてきました。全てが繋がって、今のattictoyzがある。僕らは、ただミニカーを売っているんじゃなくて、この熱量を共有したいだけなんです。この「沼」は深いですよ(笑)。もし興味を持ったら、ぜひ一度、この熱いカルチャーの世界を覗いてみてください。


【Hot Wheels Shop “attictoyz”】
TEL:06-6622-1512
Mail:info@attictoyz.net
1-3-8-301, Fuminosato, Abeno-ku, Osaka-shi, Osaka, Japan 5450004
https://www.attictoyz.net/
【Hot Wheels Collectors Japan Convention 2026】
開催日時:2026年5月24日(日)
DATE:May 24,2026
開催場所:幕張メッセ(千葉)展示ホール5・6
Location:Makuhari Messe [International Exhibition Hall 5・6]
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